だるまストーブ
小学校の5年生までは、教室の暖房はダルマストーブでした。燃料は石炭で、毎朝当番が用務員さんからもらってきます。ちなみにその頃は小学校も中学校も夫婦で住み込みの方がいて、雑務全般を引き受けていました。
朝、火を付けてくれるのは用務員さんです。石油に浸した着火用の棒をもって各クラスに火をつけて廻ります。石炭を入れるのは私たちで、火力も強くすぐに温まります。ダルマストーブには、暖房のほかに、生徒たちにとって大事な役目があります。トースターの代わりです。お昼には、給食のコッペパンをダルマストーブに押し付けてみんなで焼いて食べました。うまく焼かないと黒焦げになったり、押し付けた部分がストーブにくっ付いたりします。そうなると教室はパンの焼いた匂いでいっぱい、午後の授業で、まず先生に怒られますが、子供達は言うことを聞きません。毎日毎日繰り返し焼いて最後にはストーブがパンを焼いたあとだらけになります。そうなると今度は用務員さんに本気で怒られます。用務員さんは石炭分配の権限があります。先生の言うことは聞かなくても、用務員さんには仕方なく従ったものでした。
世の中が、石炭エネルギーから石油エネルギーに代わるにつれ、ストーブも石油のファンヒーターに代わっていきます。ダルマストーブはその役目を終え引退、教室からパンの焼けたにおいも消え、いつからか学校には用務員さんもいなくなります。日本は高度経済成長の時代を迎えます。
教室とだるまストーブ、こんな感じでした