熱が出たその2

九州旅行の思い出 どこにもあったリョーユーパン

私が結婚したのは27歳。結婚式は前橋の厚生年金会館。結婚式が終わってその日のうちに新婚旅行に向かいます。新婚旅行は九州でした。7日間の旅です。当時海外旅行に出かける新婚さんも多く、気持ちだけは海外にと思っていましたが、なにしろお金がない・・妻には国内で我慢してもらいました。あとで妻には多額の貯金があって、新婚旅行のお金、出してもいいと思ったけれど、私に悪いと思って言わなかったそうです。

披露宴を終え新前橋の駅から東京に向かいます。在来線の普通列車、新婚さんが載るような雰囲気ではありません。大きな荷物を抱え上野駅につきます。そこから翌日の飛行機に乗るため前泊します。大きくて立派なホテルでしたが名前は思い出せません。この旅行は前橋にあった「中央トラベル」でセットしてもらったものです。その頃は旅行業もなんとか成り立っていた時代で、個人の旅行会社が結構あったものです。「中央トラベル」はその中でも結構大きく商売をやっていたようです。残念ながら今は廃業し跡形もありません。翌日羽田から飛行機に乗り博多まで向かいます。今思い出せるのは、とにかく狭い空港で、着陸するときに民家が迫ってきて、やたら怖かったことです。妻は怖がっていました。私は見栄を張って平静を装いましたが、同じように怖くて仕方なかったのでした。

空港でレンタカーを借り、そこから平戸や長崎を回り雲仙に抜け熊本から飛行機で帰る予定の旅です。季節は冬、2月の半ばでまだ肌寒い頃でしたが、関東に比べ随分と暖かく感じられました。順調にドライブを続けてはいましたが、だんだん、のどの違和感を覚えてきます。熱っぽくもあります。「熱が出なければいいけど・・」そう思いながら念のため薬局で風薬を買います。生来なにを飲んでも眠くはならないので風薬とリポビタンを飲んでのドライブ。

平静を装ってはいますが「ヤバイ・・・」せっかくの旅行なのに・・・

平戸のホテルに着くころにはすっかり咽も腫れていて高い熱が出てきました。就職試験の時と同じ状況・・・とにかく寝ます。

結局、ご飯は食べることはできましたが、40°の熱が出て、妻の最初の家事がホテルのフロントへ行って氷まくらを借りてくることに・・

もう寝てるしかありません。

することもないので妻は「売店に行ってくる」と言って出ていきます。やがて帰ってきた妻は半べそです。とにかく不気味なホテルで食事するところもロビーも、やたら広くて薄暗くて・・・「気味が悪い・・・」そう思いながらもお土産を買ってきたようです。

その様子は今でもはっきりと覚えていて、妻には本当に申し訳ないと思っています。旅行はその後、熱を出しながらも目的地をめぐり、なんとか無事に帰ってきます。なんで肝心な時に熱が出る・・この呪われた発熱はその後も繰り返し私を襲ってきます。

このころも150円したんですね・・