熱が出たその3
大きな扁桃腺
前回に引き続き30代の私は、たびたびの熱に襲われます。まず咽が痛くなり、市販の風邪薬でごまかしているうちに扁桃腺が腫れてきます。やがて扁桃腺は咽の大部分を占領し39°以上の高熱に襲われます。
ある冬のことです。扁桃腺が腫れてきた私は、高熱に苦しみながらも仕事に出かけます。定時に仕事を上がって伊勢崎市内のN医院を訪れます。
どうしましたか?(先生)
扁桃腺が腫れて食事がとりずらいのです(私)
口をあけて、良く見せてください(先生)
あ~ん(大きく口をあける私・・・)
これは大きな扁桃腺だ!今まで見たこともない!よ~く見せてください(先生)
苦しい・・・(私の気持ち) そして口を閉じる
もう一度見せてください(先生)
あ~ん(再度大きく口をあける) また見るの?この先生変態かも・・・・
本当に大きなへんとうせんだ!よ~くみせてください(先生)
苦しい・・もういいだろう・・・(私の気持ち) そして口を閉じる
すみませんもう一度見せてください(先生)
あ~ん(再度大きく口をあける) まだ見るの?(私の気持ち)
本当に大きな扁桃腺だ!みんなも見せてもらいなさい!(看護婦さんたちに先生が言う) なに言ってるんだろう・・・・
わぁ~本当だ!大きいいぃぃぃ(看護婦さんたち)
見せもんじゃねぇ!そう胸の中で大きく叫びましたが、私の扁桃腺は先生と看護婦さんの好奇心にしばらくさらされます。結局見世物になってしまったようです。
大きな注射を打ってもらって、薬をもらって家に帰ります。注射が良かったのか薬が効いてすぐに楽になりました。相変わらず扁桃腺は腫れたままでしたが、見世物になった御褒美をもらったようでした。
その後、何回か発熱でN医院を訪れます。そのたび先生と看護婦さんは私の扁桃腺をしみじみ何回も見つめ、「本当に大きな扁桃腺だ!!!」といい、いつも同じことを繰り返すのです・・・・
その2年後N医院はなくなってしまいます。私の扁桃腺の治療はできましたが、他の患者さんには「やぶ医者」だったようです。そういえばいつ行っても、患者は私だけでした・・・・