ところてん
母の店はいろんなものを扱っていました。かたわらに小さなテーブルと丸い木製の椅子があって、夏はところてんを出していました。ところてんは海藻のテングサから作ります。干したテングサを煮詰め、濾過し、固めたものがところてんになります。平安時代に中国から遣唐使が持ち帰ったのが、始めだといわれています。当時は高貴な人々の贅沢な食べ物だったようです。
ところてんの名前の由来は、中国では、ところてんの原料のテングサを「こるもは」といい、これが日本で「心太(こころふと)」となり「こるもは」→「こころふと」→「こころたい」→「こころてい」→「こころてん」→「ところてん」と転化したそうです。
母のところてんは1本箸で出していました。現在でも年配の方や、一部の地方(名古屋辺り)ではところてんをお箸一本でたべているようです。なぜところてんをお箸一本で食べるのかという理由については、これといった定説はないようですが、戦中もしくは戦後の頃、お箸がまだ貴重品だったころ、人数分の箸が揃えられず、本当はお箸2本でところてんを食べた方が食べやすいのですが、やむ終えずお箸を一本づつにして食べてさせたという説。黙って箸一本で食べさせると、このところてん屋はなんてケチなんだと思われるので、“これが粋な食べ方なんだ!!”というようなことを云い始めたことが広まり、それが今に至っているという説。どれも決定的なものはなくわからないようです。
母はところてんには、七味唐辛子をつけていました。七味に酢醤油、これが母の定番で、その影響でスーパーで売っているところてんに、ねりがらしがついているのが、いまだに不思議で仕方ありません。
ところてんの食べ方のいろいろ
○三杯酢
酢の物やモズクにも使われる三杯酢。これにからしをお好みで加え、ところてんに和えてる。
○蕎麦のようにつるつると。
ところてんに「めんつゆ」ところてんにめんつゆをかけて、蕎麦のような食べ方
○黒蜜ときな粉
甘いおやつとしての食べ方。
わさび風味のところてん。
わさびドレッシングをところてんに和えての食べ方です。三杯酢とは違ったつぅーんとしたところてんです。
色々な食べ方があります。でも、やっぱりわたしは酢醤油だなぁ・・・