こぶとりじいさん
今日はこぶとり爺さんのお話です。物語の登場人物は、やさしいおじいさんといじわるじいさん、この二人にはそれぞれ大きなこぶがあり、二人とも大変気にしています。そして鬼たちです。ある日、優しいおじいさんが、山のお堂で、こぶがとれるように熱心に拝みます。そうするうち、鬼が現れ宴会を始めます。優しいおじいさんはその鬼たちの前で懸命に踊ると、鬼たちは大いに喜び御礼にお爺さんのこぶを取ってあげます。それをきいた意地悪じいさんもこぶをとってもらおうと山のお堂で鬼を待ち、宴会がはじまると同じように踊るのですが、踊りが下手なので鬼は怒ってしまい、優しいおじいさんからとったこぶも付けられてしまいます。このお話の原作は、鎌倉時代に作られた宇治拾遺物語に収録されてます。このお話が意図するのは、「人を羨まずに、身の丈に合った行動をしなさい」ということと思いますが、私にはどうにも合点がいきません。人を羨むのは、人間の自然な感情です。気になるこぶを取りたい、そんな切なる願いは意地悪じいさんも、やさしいじいさんも同じだったと思います。両方のじいさんは、それぞれ自分の力量の範囲で懸命に踊ったはずです。なのに、いじわるじいさんは踊りが下手なためにさらなる不幸を背負ってしまう羽目になります。こぶを、身体的障害、知的障害と置き換えたらどうでしょう。このお話に沿った考え方ですと、障害者は不幸になってもいい。そんなゆがんだ考えになってしまいます。子供に読み聞かせるむかし話ですが、私には、何ともやりきれない話に思えてしまうのです。