だすけ

群馬の言葉も独特の言い回しがありますが、お隣の新潟県、結構なまっています。

「おまんせっただすけ、おまんやれ。」 訳すと「あなたが言ったのだから、あなたがやりなさい。」主に上、中越地方で使われているそうです。

今から30年以上前のことです。私の勤めていた運送会社は慢性的な運転手不足、ひっきりなしに職安に足を運んでいたものです。応募してくるのは50歳以上の人が多く、若い20代の応募などはめったにありません。

あるとき、高崎の職安から電話がかかります。

「経験はないのですが、22歳のAさんが面接を希望しています。いつ面接していただけますか?」

「Aさんの都合でいいです」

次の日の10時にAさんが面接にやってきます。なんでも新潟の出身で、兄を頼って群馬県に来たそうです。

Aさんは即採用になりました。普通免許でしたので最初は2トン車からの勤務です。

性格もよく勤務も真面目です。すぐに仲間に打ち解けて和気あいあいの雰囲気。

運転手は担当の仕事によって班が作られていました。その一つを宮村さんが任されていて、Aさんはその班に入ります。

ある日のこと

「課長(私のことです)!だすけがさぁ・・・金貸してほしいそうだけど・・・話聞いてくれる?」

だすけ????だれ???

「だすけってだれ?」

「課長しらね~の、Aだよ!俺の班のA!!!」

「なんでだすけなの????」

「あいつ・語尾がいつも{そうだすけ~}なんだ!!」

事務所には総勢10人ほどいて、みんなその話を聞いてます。次の日からAさんは「だすけ」と呼ばれるようになりました。女子事務員からも「だすけく~ん」「だすけさ~ん」

めったに仕事に顔を見せない社長も「だすけはまじめでいいなぁ」

Aさんは1年ほどでやめ職人の道へ入ったようですが、退職の日に私に挨拶をしていきます。

「課長はわしのこと、だすけって言わなかった・・・ありがとうございました」

本人は「だすけ」とよばれて満足はしていなかったようです。・・・・・