山葵(わさび)

実家のすぐ前の山に入ると渓流が流れています。左岸はむかし、なにかしら鉱物を採掘していたようで、切り出した跡が残っています。右岸に沿って渓流を遡ると、ちいさな岩魚、ヤマメに出会います。こんな小さな谷にすむ魚は、本流への供給元で、なるべく釣らないほうが良いようです。

この渓流は、父とよく山菜とりに入ったものです。こごめ、ふき、うど、タラの芽、などいろんなものがとれる場所ですが、めずらしく、山葵も自生しています。山葵が市販されているような大きさになるためには、人の手を入れて何年も育てなければなりません。山菜としての天然山葵は、よく口にする「根」の部分ではなく、葉と茎をもっぱら利用します。葉と茎を刻んで、軽く塩もみをして、ビニール袋に入れておくだけで山葵独特の辛味を持ったものになります。醤油漬けにしたり、いためたりと結構いろんな食べ方があるようですが、手もかからず、山葵特有の味と辛味を楽しめる、この食べ方が好きです。