御歳暮

お歳暮

お世話になった人にお礼の贈り物をする風習は世界中にあります。日本人は、年に夏と年末の2回、お中元とお歳暮をおくります。

お中元は中国の「三元」と関係があると言われています。三元は道教の行事で、上元は福を与えてくれる天官賜福大帝が司るとされる旧暦1月15日、中元は罪を赦す神である地官赦罪大帝の縁日である旧暦7月15日、そして下元は厄を祓ってくださる水官解厄大帝の縁日で、旧暦10月15日のこと。このうち中元の風習が日本に入り、お盆やお中元となったとされますが。もともと日本には夏と冬に贈り物をする風習があったそうです。
御歳暮の始まりは、はっきりとしてません。ただ年末に、歳神(としがみ)様に供える酒や魚、餅などを贈る習慣が古くからあったらしく、歳神は生活を守護する神様で、大晦日の晩にやってきて、その後一年間家にとどまると考えられていました。童話の笠地蔵も大晦日の夜にやってきます。歳神の一種だそうです。なまはげも歳神が変化したもので、お正月にやってきて、厄災を祓うのが本来の形だったとされいます。
他家に嫁いだ娘や、分家した親族などが、親や本家に歳神様への御供え物を贈ったのがお歳暮の始まりだとすると、室町時代ごろにはその習慣が確立していたと考えられています。江戸時代になると、商人たちの習慣が庶民の文化や風習に影響を与えるようになり、年末に、商人たちがお得意先などへ挨拶回りをしたことでお歳暮の習慣が定着したといわれています。

お歳暮の品物は風呂敷に包み、挨拶をしてから風呂敷を解いて、熨斗が相手の方を向くようにして渡すのがマナーです。

着物とお歳暮

お歳暮はいつごろに贈れば良い?
正月の準備を始める日を「正月事始め」と呼び、江戸時代中期には12月13日に定着しました。この日には、門松に使う竹や松、御雑煮を炊く薪などをとりに、山へ行きます。そしてお歳暮は本来、新年を守護する歳神様への御供え物にされるものだったから、贈るのは12月13日以降とされていました。
しかし、現在では忙しい年末を避け、11月下旬から12月20日ごろまでに贈るのが一般的です。何かの事情で間に合わなかった場合は「寒中見舞い」や「御年賀」として新年に届けるのもいいでしょう。


風呂敷に包まれたお歳暮

熨斗紙は奇数本の紅白水引を蝶結びにしたものを使用し、上書きは「御歳暮」と書きます。
贈る品物は、自分の好みを押し付けるのではなく、先方の好みや家族構成を考慮に入れて、喜ばれそうなものを選びましょう。持参する場合は、まず先方の都合を聞いて、迷惑にならない日に訪問。品物は風呂敷に包み、挨拶をしてから風呂敷を解いて、熨斗が相手の方にむけます。

喪中のお歳暮はどうする?

お歳暮は感謝の気持ちを贈りもので表現するものなので、自分が喪中であっても、相手が喪中であっても、控える必要はありません。お葬式を出したばかりで気になるのであれば、先方に事情を伝えて時期をずらすと良いでしょう。

お歳暮の風習は経年とともに廃れつつあります。日本人らしい、感謝を伝える風習として、残していきたいものです。