父と嫁 その1
私は男3人の兄弟です。みなそれぞれ結婚してますので、父には3人の女の子ができたことになります。人みしりのない父でしたので、それぞれの嫁とはうまくやっていたようです。特に私の妻とは相性が良かったようで、妻を実家に連れていくと父と妻でよく話をしていました。私はそんなに話し好きではなく、父ともあまり話しこむこともありませんでしたが、元来の話好きの父はニコニコと自分の話を聞いてくれる妻がとてもありがたい存在だったようです。
父と妻のエピソード
シャケの皮
その日の食卓には焼ジャケがのっていました。父はそのシャケの身を丹念にほぐしています。「シャケは皮がうまいんだ。よく焼いたシャケの皮は最高の御馳走だ!」 身はきれいにほぐれ美味しそうに皿の上・・・「一番うまいところを美奈子(仮名)にやろう!」
妻の皿に乗るシャケの皮・・・それも大量に・・・「あ・・ありがとうございます・・・」戸惑いながらの妻の返事・・・
戸惑いに満ちた妻の視線は私に向けられます。どうやらその皮を何とかしろということのようです。「好物は自分で食べたほうがいいよ」
私はその大量の皮を父の皿に戻します。「悪いな。とーちゃんが全部食っていいのか!」無邪気に言う父・・・他人もシャケの皮が好きだと思っていたようです。
妻はそんな父の行動も批判的にはとらえず、「どうせくれるんだったら、身のほうがいい。皮は食べたくない。他の人だったら口きかなくなるよね」と、後日談、笑いながら話す妻でした。