父と嫁 その3

薬味のエピソード

薬味には2つの意味があります。漢方では、薬方(処方)を構成する個々の生薬のことを言います。単に味(み)ともいいます。たとえば、葛根湯を構成する葛根、麻黄、桂枝、甘草などのことを言います。もうひとつの意味は料理つかわれる薬味です。野菜では、ねぎ、にら、たまねぎ、だいこん、せり、みつば、みょうが、海藻では海苔、とろろ昆布、香辛料のとうがらし、からし、山椒、種ではゴマ、ラッカセイ、クルミ、果実では梅干し、干しブドウ、その他、鰹節、てんかす、あぶらあげetc・・・キリもなくあります。

その日の昼は母のうどんでした。うどんには薬味が必要。薬味はねぎとみょうがです。「みょうががうまいな・・・子供のころは好きじゃなかったけど・・」父が言います。さらに定番のネギ、「ネギもいいなぁ。やっぱりうどんにはねぎだな」独り語をつぶやいています。

しばし皆黙ってうどんタイム・・・

やがてざるに乗ったうどんが終わりかけたころ、父は大きくうなずき独り言「うどんはうまい!薬味があると、かくだんにうまい!」

妻が一言、「お父さんいっぱい食べたね・・・うどんうまかったね」

父「やっぱり薬味が効いているなぁ。子供のころは食べられなかったけど、大人になると薬味の味がわかって、好きになってくるんだ・・・」

「・・・久美子(仮名)はまだ好きじゃないだろう」

妻「・・・・・・」

妻の心の声「薬味が好き⇒おとなになると好きになる。=大人である。まだ好きじゃないだろう=子どもだっていう意味なのかぁ?

一体幾つだと思っているんだろうね・・・私のこと・・・もう35だけどネ・・・」

 

頓珍漢な父の一言でした。