父と母のなれそめ
私の両親は、26歳の時に結婚しています。父は26歳になり、そろそろ嫁さんがほしいと思ったそうです。知り合いの人に頼み、見合いの相手を探してもらいます。ひと月ほどして「紹介したい人がいる」との言葉で母の住んでいる渋川のはずれ、子持村へと出かけます。知人の紹介で、遠巻きに「あの人だよ」と教えてもらい、見ただけ、「少し年増だけどいいか・・・」そう思い「話を進めてくれ」といったそうです。
その後、どんないきさつかはよく教えてもらってませんが、結婚することになり、家に来た母を見て初めて気がつきます。「あれぇ・・人が違う・・・」
父が教えてもらい結婚を決めた相手は、なんと母の義理の姉、母より10歳以上年上の人でした。思っていたより若く、多少愛嬌もあったので、「人が違ってよかった・・・」父はそう思ったそうです。当時は戦後のどさくさで、顔も見ずに結婚する人もたくさんいて、珍しい話ではないのですが・・・
母のお母さんは、母が12歳の時に他界しています。産めよ増やせよの時代、母の兄弟は10人いて、母は上から5番目、そして長女、実家は農家で、さらに商売もやっていましたから忙しく、また、幼い兄弟が何人もいて、子守、洗濯、炊事の明け暮れる毎日、知らない間に年を重ね、適齢期を過ぎたようです。実物を見て喜んだ父とはうって変わって、父の姿を見た母は「年寄りくさくて残念・・」
会うこともなく、話もしたこともなく結婚・・・どんな生活だったのでしょうか?思いを巡らせてもわかりません。ただその後、父が天寿を全うするまで半世紀以上一緒に暮らします。母は事あるごとに父に悪口を言っていましたが、本心はどうだったか・・もう聞けません。ただ、「父ちゃんが、いい人でよかった」そうもいっていました。
私も妻と結婚して40年が過ぎようとしています。仕事に追われ、人生を振り返るひと時も、ままなりません。相変わらずバームクーヘンと格闘している毎日です
母の故郷 子持村北牧