竹筒貯金箱

私は兄弟3人の二番目です。どの家族でも似たようなものだと思いますが、長男は初めての子ですので、それなりに可愛がられます。二番目は、子育てに親も慣れてきていますので意外とぞんざいに育てられるようです。末っ子になりますと、親も最後の子供の意識があるようで、一番かわいがられる傾向があると思います。幼いころから私なりにそんな傾向を感じていたのか、兄弟の中では一番したたかに育ったようです。

たとえば食事の時、おかずはみんな平等に出されます。私はまず自分の分を平らげます。長男というのはどこかのんびりしているところがあるのか、食べるのは遅く、私が食べてしまっても、まだ、大事なおかずは残っています。そんな兄のおかずを私は狙うのです。じっと見つめていると、兄はきまって「あげようか?」そう言ってくれます。そうして兄の分まで平らげてしまいます。私は、兄弟の中で一番背が高く、体格も良いのですが、そんな私に、「俺の分まで食べたから、背が伸びたんだ」兄はよく言っていました。そうかもしれません。

さて、私の家では毎年父が竹を切って竹筒の貯金箱を作ってくれました。竹の節を3個残し、上下切り落としたものに、節ごとに切れ込みを入れお金を入れる口を刻みます。そこに1年かけて貯金していくのです。そしてクリスマスの夜、竹を割ってお金を数えます。一番上が兄、二番目が私、一番下が弟の貯金箱です。順番に開いていくのですが、毎年私の貯金箱が最低の金額なのです。それもそのはず、事あるごとに、私は貯金箱をひっくり返してお金を取り出していました。駄菓子屋に通うためです。兄は何事にも堅実で、しっかり貯金がなされています。弟には、母がちょくちょく入れてあげていて、それなりの金額になっています。私は兄の1割ほどの金額・・・食事の時のようにじっと見つめますが、「あげようか?」とは言ってくれません。日ごろの我慢が足りない罰なのですが・・・

そんな私に母はいつも「おまえはいつもおかねがないね・・・」そう言っていました。大人になってもその傾向は変わらず、いつも財布の中は空っぽです。弟に財布の中身をみられ、「あんちゃん、1,000円しか持ってないよ」母に報告され、「どうしていつもおかねが無いの?」と母に問いただされたのも就職してからのこと・・・

今もお金には縁がありません。なんでなんすかね?

老人ホームに入れるように今からでも竹筒貯金を再開したほうがよさそうですが、お金には縁がなくとも、社員には本当に恵まれてます。みんなよく働いてくれます。お金はなくともそれで十分、感謝の毎日です。

こんなイメージですかねぇ・・・