雪やこんこ
私は、群馬県の北部、温泉町で育ちました。当然雪深く、冬は雪と戯れる一方で、毎日降り積もる雪との戦いの毎日です。初雪は12月の初めにふります。私たちは雪虫と呼んでましたが、白い綿帽子をかぶった小さな虫が飛ぶようになると、やがて雪に覆われます。大雪の前の日は静かな夜です。そんな次の日はきまって雨戸が開きません。やっとの思いであけると腰まで積もった雪です。一晩で1メートル近く降ることも頻繁にありました。
私の家の前は坂道で、昔は雪が降ると車も通行できません。急な坂道を上がることができないのです。そこで、夜、近所の子供たちは、それぞれ手作りのそりを持ち寄ってそり遊びです。いまでは親に止められると思いますが、約100メートル程の坂道を猛スピードで滑り降ります。みんなで歓声を上げながら遅くまで遊んだものでした。
わが故郷は私が中学生のころ、約15000人ほどの人口でしたが、今では3000人もいないようです。私たちが遊んだ坂道は、今は融雪設備が整い、車は自由に上り下りできます。もう子供たちの歓声は聞けなくなりました。