スピッツ
今はすっかり見かけなくなりましたが、私が小学生のころは、よく飼われていた犬の種類です。全身真っ白の長い毛でおおわれていて、女性的な外観ですが、中身はとても攻撃的でよくほえる犬です。洋犬をルーツとする日本の犬種で、1920年頃に日本に渡来した白いジャーマン・スピッツがルーツだと言われています。その後もさまざまな国から白いスピッツが輸入され交配が行われるようになり、子孫によって改良繁殖が行われた結果、第二次世界大戦後の1948年、日本犬として確立されたそうです。
さて、このスピッツなる犬、当時放し飼いにされていて、子供を見ると追いかけてくる代物でした。追いかけるだけならいいのですが、最後はかみついてきます。私は、気の強いほうではないので、ほえられて、追いかけられると逃げまどうしかありません。小学校3年生の時は最悪で、学校までの通学路は何通りかあるのですが、どのコースを通っても必ずスピッツがいるのです。学校に行かないわけにはいかないので、意を決してスピッツのわきを通るのですが、いつも心臓は「バクバク」です。「ほえるな」「そのままでいてくれ」そう願いながらすり抜けようとしますが、スピッツはそんな心を見透かすように、突然吠えかかります。私は一心不乱に駆け出します。そしてスピッツは追いかけてきます。
ある日こと、その日も追いかけられて、走って逃げていましたが、スピッツは途中で追いかけるのをやめてくれます。そして、別の男の子に標的を据え、吠えかかっています。今にもとびかかりそうな時でした。男の子の足がスピッツの顔面を捉えています。飛び蹴りです。それはものの見事に決まりスピッツは「キャンキャン」と退散していきます。「すげー」と思う間もなく男の子が一言「逃げちゃだめだよ・・逃げれば追いかけてくるんだ」
確か、私より2学年上の男の子でした。「わかった・・ありがとう」そういうのがやっとの私でした。次の日からはスピッツの目を見て通るようにしました。その子からの教えです。「にらみを利かせて通ればだいじょうぶだよ」わたしはその教えを守りました。ほえられても逃げなければ追いかけられないこともわかりました。
さて、事業をやっていると、逃げたくなることがたくさんあります。コロナ蔓延のこんなご時世だと、ますます大変なことばかり・・・だけど逃げたらずっと追ってくる。最悪かまれて終わり・・・「正面から立ち向かえば大丈夫」あの時の男の子がそうささやいているようです。
ポメラニアンに似て可愛いのですが・・・