ミミズを煎じて風邪薬

こんな鍋で煎じていました。犬の皿のほうがきれい・・

漢方薬にはいろいろありますが、魚釣りに使う「ミミズ」も漢方薬になります。ちなみに釣りでは「ミミズ」のことを「キジ」と言います。

祖母が風邪をひくと必ず「ミミズ」をとって来いと母に言われます。祖母が風邪薬として「ミミズ」を煎じさせるからです。私がとってきた「ミミズ」をよく洗い、汚い鍋で母は煎じ始めます。強くはありませんが、いやなにおいの中、祖母の命令があるのでいやいや火にかけます。母はそれが非常に苦痛だったようで、一回につき1000円の約束で、中学生からは私の仕事になりました。

「ミミズ」は漢方薬として2世紀のはじめには医学書に登場します。当時は主に発熱や気管支喘息の症状に用いられていました。漢方医学の最古の書物の一つ、神農本草経(365種の生薬を記したもの)にはミミズが蚯蚓(きゅういん)の名前で記されています。そして11世紀の文献、図経本草には地龍(じりゅう)の名で登場しまし、赤竜(せきりゅう)、土龍(もぐら)の名で多くの医学書・薬学書に記されています。土龍(もぐら)の本来の意味はミミズだそうです。ミミズの効能には、解熱、鎮痙、利尿、解毒薬の他にも、血圧降下作用・血行促進作用・消炎作用・殺菌作用・・糖尿病の改善・脳出血の改善・狭心症・心筋梗塞の改善の効果が期待でき、通絡作用もあり、気・血の巡りが悪いときに処方にも補助薬として用いられることもあります。

※気・血とは
気(き)…生命を維持しようとする基本的活力
血(けつ)…血液・ホルモン成分などを含めた体液の総称

漢方のミミズは未病(みびょう)の生活習慣病・内科疾患にも効果を発揮する万能薬です。

※未病とは病気ではないが放っておくことで病気になるもののこと。

漢方薬に使われるミミズと健康食品にも使われるミミズには、働き・使用部位等でも大きな違いがあるようです。また、一部の地竜を使った健康食品には、血栓(血管内の血小板や血液の塊)を溶かす酵素が血液をサラサラにしてくれる効果もあるようです。以上、知れば知るほど有能な薬のようですが、1000円で、さんざん祖母のために「ミミズ」を煎じた私は、どんなひどい風邪をひいても、飲む気にはなれません。

漢方として市販されているものを載せておきます

ミミズが妙にリアルです・・・