父と嫁 その5

ハイビーム

車のライトには遠くまで照らすハイビームと近くを照らすロービームがあります。ハイビームは、対向車には大変まぶしいもので、対向車がいるときはロービームでの走行が必要です。

父の免許取得での苦労は先に書きました。その後父は順調に運転を重ね、無事故であちらこちらと車での移動を楽しみます。

ですが、ある日の父と妻

車の運転について話が弾んでいます。

「どうも俺は有名人らしい・・夜運転していると皆挨拶していく」

夜間運転の時、すれ違う車がすべてパッシングをすること。そしてクラクションを大きく鳴らしていくこと、そのたび父はさらに大きくクラクションを鳴らして返すことを言っているようです。

「俺のことみんな知っているみたいだ。夜はいつもクラクションを鳴らして挨拶してくれる。夜なのになんでわかるのかなぁ? 返事はしないと悪いから、大きな音でかえすんだ」

妻の運転歴は長く、パッシングの意味、クラクションの意味は察していたようで、諭すように父に言葉をかけます。

「おとうさん、ハイビームのまんまだからまぶしくて、怒ってクラクションを鳴らすんですよ・・・対向車がいるときはロービームじゃなくちゃだめです・・」

「そうなんかぁ・・俺は知り合いだから挨拶してくれているんだと思っていたけど、まぶしくて怒っていたのか・・・」

他人の何倍もかけてとった免許証ですが、まだ、教習所で教えてもらってないことがあったようです。